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スポーツの世界で区別されるトランスジェンダー

 ここ数日、トランスジェンダー選手のうち、トランスジェンダー女性の女性競技への出場を禁止することを決定、或いは出場条件の見直しを検討していることが報道されています。

 

 国際水連(競泳)、世界陸連(陸上競技)、FIFA(フットボール)、国際ラグビーリーグ連盟(13人制ラグビー)が相次いで、新カテゴリーの創設や、トランスジェンダー女性の女性カテゴリーへの参加を禁止する方向性を打ち出しています。


国際水連、トランスジェンダー選手の新カテゴリー創設へ


陸連、トランス選手の規制検討コー会長、水連に続き

 

13人制ラグビー、トランスジェンダー選手の女子国際戦出場を禁止


サッカー=FIFA、トランスジェンダールール見直し 世界陸連も


 トランスジェンダーに限らず、どんな選手であれ、誰もが、競技から締め出されることがあってはなりません。


 しかし、自らが選択した性別で競いたいという気持ちは理解されたとしても、それが優遇になってはならないのです。


 今後オフィシャルになるであろう各国際組織の対応は、性自認が、身体機能と無関係である以上、避けることの出来ない社会の変化であり、何も不自然なことではありません。


 なぜなら、性自認がどうであれ、肉体の性別は、別の性別に似せることは出来ても、完全に変えることは出来ないからです。


 元男子が女子の大会に出れば、有利に働くことは容易に想像がつきます。


 身体能力に性差がある以上、スポーツの世界において、グレーな部分があってはならないということを、突き付けられたということなのでしょう。


 女性にとっては、トランスジェンダーで性別を変えた、肉体が元男性のほうが、生物学的女性の選手と同じルールで競い合うのは不公平だという意見や、男子選手としてそこそこの成績の選手が突然、「私はトランスジェンダーだ」と言って女子の競技に入り込んで、優勝を奪っていくことへの違和感に対し、トランスジェンダーは納得のいく説明を交えて応えてはくれないと感じていたはずです。


 最初に報道された国際水連の対応は、オープンクラスといって、トランスジェンダーに限らず、そのカテゴリーで競技したい選手は誰でも参加できるようにすることを検討するようですが、女子カテゴリーの協議に参加できなくなる以上、結論は、トランスジェンダーを区別するということです。


 それはつまり、性自認というトランスジェンダー特有の問題は、生物学的性別、つまり、身体機能を無視しないと成立しないといけない以上、性自認をスポーツの世界に持ち込んだことに無理があったということを意味しています。


 尚、余談ですが、オリンピック憲章 は、オリンピズムの根本原則の6番目の原則で、性的指向による差別を禁止していますが、性自認について触れてはいません。


オリンピズムの根本原則

6 このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。


Fundamental Principles of Olympism

6 The enjoyment of the rights and freedoms set forth in this Olympic Charter shall be secured without discrimination of any kind, such as race, colour, sex, sexual orientation, language, religion, political or other opinion, national or social origin, property, birth or other status.


 ところで、この、スポーツの世界でのトランスジェンダー選手に係る環境の変化は、日本において、性的指向及び性自認に対する不当な差別的取り扱いを禁止する条例や制度を導入した地方公共団体には、踏み絵となるはずです。


 例えば、国体を開催する場合、諸外国ではトランスジェンダー選手を区別しているにもかかわらず、国体を開催する都道府県の条例や制度に、性的指向及び性自認に対する不当な差別的取り扱いを禁止していることを根拠に、トランスジェンダー選手が、性自認に基づき、望む性別で競技することを希望した場合、それに対応する必要が生じ、その結果、国体での成績が国際基準に合致しないケースも出てくることが考えられます。


 そのような事態になった場合、国内向けにはトランスジェンダー選手の成績を含み、国際向けにはトランスジェンダー選手の成績を含まないという、二重基準を導入するなど、何らかの対応をする必要が出てくることでしょう。


 当会は、2020年より、国に先んじて、地方公共団体が性的指向や性自認に対する不当な差別的取扱いを禁止することの問題点を指摘して参りました。


 なぜならば、何をもって不当な差別的取扱いとするのかもはっきりとせず、地方公共団体単位でその取扱いも異なることが、問題を引き起こす可能性はもとより、国が地方公共団体と異なる判断をした場合に、条例や制度を撤回しなければならなくなる場合も考えられ得るからです。


 現在、性的指向や性自認に対する不当な差別的取扱いを禁止する条例や、それを含んだ形でパートナーシップ制度を導入した地方公共団体は200余りに及んでいます。


 それらの自治体が、今後、日本に先んじていると言われてきた海外の対応と、自らが制定した条例や制度の規定との間で、ジレンマに陥ることは明白です。


 なぜなら、そういった条例や制度の導入検討に当たっては、「日本は海外に比して、性的マイノリティ政策が遅れている」という理屈で、海外の事例を参考にしてきたからです。


 しかし、今、その海外で、性自認は問題があるということに気が付き、制度が変えられているのです。


 今回の世界的な環境変化は、既に日本、その地方公共団体にとって、他人事ではなく、読者の皆さんが住む自治体が、知らぬ間に性自認に対する不当な差別的取扱いを禁止していることもあるなど、身近な問題になっているということに、気が付いていただきたいのです。

(2022年6月21日初稿)

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