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ランドセルの色、制服のかたち

 茨城県高萩市では、市が配布するランドセルについては、2023年以降紺色に統一することになったそうです。

 また、ここ数年、制服をジェンダーレスにしたり、バリエーションを増やすなど、制服のあり方を変える動きがみられます。

 しかし、その理由に、トランスジェンダーの存在を挙げ、トランスジェンダーのためにランドセルの色や制服の形を変更することには、違和感を覚える方も多いのではないでしょうか。

 今回は、誰もが納得する形で、ランドセルを背負い、制服を着るにはどうするべきか、考えてみたいと思います。


ランドセル:茨城県高萩市の取り組み

 茨城県高萩市は、新小学1年生に配布するランドセルについて、これまで男子は黒色、女子は赤色としてきたが、持続可能な開発目標(SDGs)が掲げるジェンダー平等の観点から変更を決定、2023年度以降は紺色に統一する。

 色の統一は、男女共同参画を推進する市民団体と市の担当課による意見交換で、性別でランドセルの色を分けることを疑問視する声が上がったのがきっかけで、同団体が行ったアンケートで、「ランドセルの色を選べるとしたら何色がいいか」と聞いたアンケートを実施したところ、黒や紺を希望する声が多かったという。

 これを受け市は、市章など市のイメージカラーが紺のため、紺に統一すると決めた。


ランドセルを背負うのは誰か、で考える

 アンケートでは「男は黒、女は赤と決めないで好きな色に」「男の子と女の子を区別されて精神的につらい人もいると思う」などの記述もあったといいます。

 また、市教育委員会教育総務課の担当者は「男子、女子(という区別)ではなく個人を尊重していってもらいたい」としているとのこと。

 ランドセルは、男は黒、女は赤である必要はないのは確かであり、また、トランスジェンダーの存在も考慮すれば、ランドセルの色をどうするのかについては、二つの方向性に分かれます。

  1. 色を統一する

  2. 生徒個人が希望する色であれば、何色でも良いことにする

 経済的に余裕があれば、着る服に合わせて、ランドセルの色を変える生徒や、金色やプリント柄など、従来にない色調のランドセルを選ぶ生徒も出てくるかもしれません。

 だからといって、それが小学校で学ぶことや子供の成長に悪影響を及ぼすと考えるのは、早計です。

 もし、ランドセルの色で、学級崩壊など、学校教育上の問題が解消したり、あるいは、成績が優秀かどうかが決まっているならば、ランドセルの色を議論することすら、必要がないはずです。

 「男が黒、女が赤」というランドセルの概念は、最早意味のないものであり、惰性で続いているものといえるでしょう。

 「黒じゃないランドセルを背負って、いじめられたなぁ」と昔を思い出すようなことがなくなれば良いと、個人的には思います。


制服:東京都江戸川区の取り組み

 東京都江戸川区では性別に関係なく制服を選択できる学校が増えていて、2021年時点で中学校の3分の1で今年度、制服選択制を導入。

 例えば、瑞江第二中学校では、スラックスかスカート、そしてネクタイかリボンの組み合わせを自由に選択可能。(2021年当時)

 また、この学校では制服の呼び方も改め、これまでスラックスを男子用、スカートを女子用と呼んでいましたが、ストレートのスラックスをA型、スカートをB型、丸みを帯びたスラックスをC型と呼ぶことにした。


「制服は誰が着るのか」で考える

 制服は、明治時代に、軍服をもとに男子の制服ができ、そのあと女子の制服ができたのが今の制服のルーツだそうです。

 だからといって、制服を全否定する必要はないでしょう。

 例えば、制服があることで、家庭の貧富の差を見せなくすることも出来るでしょうし、制服を着ることで、未成年である生徒を犯罪等から守ることもあるからで、制服が役に立つ場面は、単に学校に限らないと考えられるからです。

 また、この制服の問題が主に中学生以降で重要な問題とされるのは、第二次性徴と関係があると言って、差し支えないでしょう。

 つまり、体つきが変化すると共に、自我がはっきりとしていく中で、自分へのこだわりが強くなる、つまり、「自分とは何者なのか」という意識に、従来の制服のあり方が合わなくなってきているということではないでしょうか。

 それに加え、性的マイノリティの観点で言えば、これも、主観的であいまいな概念ではありますが、「性表現」に重きを置き、それを尊重するならば、男子はスラックス、女子はスカートという従来の枠組みでは対応できない部分があると言えます。

 これらは、昭和と令和では、男と女を分けることの必要性は、全く異なると言えるほどに、社会が求める男女のあり方が変化してきたことも相まって、より一層、旧来の制服:男子はスラックス、女子はスカートでは対応出来なくなったのです。

 もはや制服は、生徒を管理する側のツールではなく、生徒のひとりひとりが、性別に関係なく能力を発揮できる環境の一つのアイテムとして、学校が提供するべきものに変わっています。

 ただ、ジェンダーレスという名の下に、一種類の制服に統合するのは、行き過ぎだと考えます。

 スカートを穿きたい女子生徒や、スラックスを穿きたい男子生徒も、尊重されるべきです。

 また、学ぶ上において男女に区別はないとする視点とは別に、もし、制服のあり方が原因で、学校に生きづらく、それが成績に影響している人がいるのならば、やはり、制服が男女それぞれ一種類である必要はないはずです。

 従って、制服は、4種類程度の選択肢を用意する形に落ち着くべきです。

 制服に複数の選択肢があることが、生徒の学習意欲を向上させ、成績や生活態度、あるいは生徒の健康に好影響を与えるのだとしたら、何も問題はないはずであり、今すぐにでも、選択肢を増やすことを検討するべきだと考えます。

(2022年6月20日初稿)

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