• 一般社団法人芙桜会 | FUOHKAI

”変態”と後ろ指をさされることなかれ

更新日:2021年3月24日

随分と思い切ったタイトルにしたと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、男性同士の性的接触でHIVに感染する割合が、他の性的接触の割合よりも高いことは、国の調査で明らかになっており、依然として、性的マイノリティ、特にゲイやバイにとってHIV/AIDSの問題は決して過去のものではないと言わざるを得ません。

今回は、我々の身の安全を確保するためにも、HIVに感染することや、エイズを発症することが過去のものではないということを、改めて認識するべく、私の意見を述べます。

  • HIV/AIDSの現状

厚生労働省エイズ動向委員会がまとめた、令和元(2019)年エイズ発生動向 – 概 要 –

https://api-net.jfap.or.jp/status/japan/data/2019/nenpo/r01gaiyo.pdf


によると、令和元(2019)年の新規報告数は、HIV 感染者と AIDS 患者を合わせて 1,236 件(前年 1,317 件)だったそうです。また、HIV 感染者と AIDS 患者を合わせた新規報告数に占める AIDS 患者の割合は 26.9%(前年 28.6%)で、HIV 感染者の年間新規報告数は 2008 年の 1,126 件をピークとし、そして、AIDS 患者の年間新規報告数は 2013 年の 484 件をピークとし、結果、HIV 感染者と AIDS 患者を合わせた年間新規報告数は 2013 年の 1,590 件をピークとし、ともに減少傾向となっているそうです。

(PrEPの項もご参照ください)

ただ、我々にとって、注目すべきは、令和元(2019)年新規報告を感染経路別にみると、HIV 感染者、AIDS 患者のいずれにおいても、同性間性的接触が半数以上を占め、HIV 感染者ではその割合はさらに高かったということです。

なお、令和元(2019)年新規報告を年齢階級別にみると、HIV 感染者では 25-29 歳が最も多く、AIDS 患者では 45-49 歳が最も多かったとのこと。また、HIV 感染者新規報告において特に 20-39 歳で同性間性的接触(男性)の占める割合が高く、それより年齢の高い層およびAIDS 患者では、若年層および HIV 感染者と比較して同性間性的接触(男性)以外の感染経路の割合が高い傾向があるとされています。


この報告が示すように、日本におけるHIV感染者及びAIDS患者の主たる要因は、「同性間の性的接触」であり、感染者数では、数百人だとはいえ、HIV 感染者、AIDS 患者のいずれにおいても、性的マイノリティの身近な問題であるということは、払拭しようのない事実であると言わざるを得ないのではないでしょうか。


たのシニアヴィレッジ「いきなりエイズから考える」HIVは本当に死なない病気なのか?

https://note.com/alliancers/n/n062e35f92a36

  • PrEPのこと

PrEPとは、Pre-exposure prophylaxis(曝露前予防内服)のことを言い、簡単に言うと、セックスをする前に抗HIV薬(治療薬ではない)を飲み、HIV感染のリスクを軽減する(リスクをゼロにするとは言っていないことに注意)とされる予防方法です。

詳しい方の話によれば、「何もなかった時代に比べたら、予防策がないよりは進歩した」という理屈で、PrEPを否定する必要はないというのが、通説のようです。

しかし、安易にPrEPに手を出していいのでしょうか。

サプリメントのような、お手軽な ”健康維持アイテム” ではないことは確かです。

自分の頭でよく考えて、どうするかを決めていただきたいのです。

私が考え付く限りにおいて、PrEPの問題と思われるのは、次の通りです。

  1. そもそも、日本では認可されていないものである

  2. 感染しない100%の保障はない

  3. PrEPをするかどうかは、あくまでも自己責任である

  4. 服用方法が難解であり、個人が安易に管理できるものではない

  5. 副作用は未知の領域である

  6. HIVの薬物耐性の問題

  7. ウイルスの型(ウイルスは変異・進化する)や人間の遺伝子の配列など、素人ではなかなか理解出来ないようなレベルの領域の問題により、自分が服用する薬が真の効果を発揮するか不明である

  8. 本人の “性スタイル” “性習慣” によっては、PrEPしていても意味がない

  9. PrEPとHIV感染者が抗HIV薬を服用していることの見分けがつかない

  10. PrEPは健康を守る手段のひとつであって、無防備な性行為をするためのものではない

  11. HIVよりも感染力の強い、性感染症の予防には効果がない

  12. そこまでして、やるセックスとはいったい何なのか

HIV薬の副作用と注意点については、次の情報が参考になるのではないでしょうか。

https://allabout.co.jp/gm/gc/374404/


詳しい方の話によれば、PrEPにより、HIV感染者及びAIDS患者の新規感染者数は減少傾向にある(前述の厚生労働省統計もご参照のこと)との認識だが、逆に、他の性感染症に罹患するケースが増えて、大きな問題になっているとのことです。(後述)


これは私の私見ですが、PrEPをすることで、無防備な性行為、はっきり言えば、コンドームを付けずに肛門性交をするケースや風紀の乱れた性行為が増えているのではないでしょうか。


もし、皆さんの身の回りに、「PrEPをすれば、生でSEXもできるよ」などと、コンドームなしの性行為をそそのかすかのように言う団体や個人が存在するならば、それは、PrEPをやむを得ず、否定しない状況において、他人を売り、地獄に落とす人道にもとるものであると、疑うべきです。


PrEPは危険な性行為や無防備な性行為をするためのものではないのです。

  • 他の性感染症のこと

「ブースター効果」という言葉を聞いたことはないでしょうか。

HIVにおいては、他の性感染症に罹ると、HIVに感染する確率が飛躍的に高まるということです。

性感染症として、よく言われるのは、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症、そして、梅毒ですね。

それに、肝炎も、性的マイノリティで特に男性同性愛者が罹患するものとして認識されているところかと思います。


厚生労働省の「性感染症報告数」

https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html


をみても、ここ数年、梅毒感染者の報告が高止まりであることが、はっきりとわかります。


【感染症ニュース】

梅毒 2019年もすでに患者報告数が4000例を超えている 今後も患者数の増加が予想され注意が必要

https://kansensho.jp/pc/article.html?id=IE00000402


また、国立感染症研究所の資料には、梅毒であれば、男性同性間の届け出数の推移が掲載されており、梅毒においても、男性の同性間の性的接触による感染が、大きな問題であると認識されていることが想像に難くないことがわかります。


国立感染症研究所 資料

https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/syphilis/2020q4/syphilis2020q4.pdf

  • コンドームをつけよう

ここ数年、生でセックスをする、つまり、無防備な性行為を求める書き込みが、SNS上や、出会い系サイトで多く見られるようになっています。

残念ながら、「PrEPをしています」と、生でセックスすることを正当化しているアカウントも存在します。


性的マイノリティの中で、特にゲイ(男性同性愛者)は、性行為にルーズな側面があると感じます。

例えば、「ハッテン文化」などと、性行為の乱れた部分を美化する者もいます。

ネットを検索すれば、「ナマヤバ」などと、HIVに感染するような危険な性行為を美化、正当化し、それを推奨するかのようなサイトも存在します。


それに対し、「それは極端な例であり、性的マイノリティ全体がそれを支持しているわけではない」と仰る方もいるのですが、しかし、先に参照したHIV感染者並びにAIDS患者の半数以上は、性的マイノリティ、それも、ゲイ(バイ)なのです。


感染者数、患者数の “多い” “少ない” の問題ではありません。

私たちが、真剣にHIV並びにAIDSの問題を受け止め、性行為において、秩序とモラルを高めなければ、日本におけるHIV/AIDSの問題は、未来永劫、性的マイノリティの問題として認識され続けることになると言って、過言ではないでしょう。


性感染症の予防において、もちろん、100%の保障はないとはいえ、従来から言われてきたのは、「コンドームを付けよう」ということです。


この、極シンプルな、でも、最も健康を守ってくれるアイテムを、今一度、見つめなおそうではありませんか。

コンドームを使うことで、守られる健康は少なくはありません。

PrEPをしている人も、コンドームを使って下さい。


AERA dot. 「コンドームにもっと関心を 性感染症予防を真剣にバカバカしく」https://dot.asahi.com/dot/2019060300120.html?page=1


記事にもあるように、日本では、HIVやヘルペスのウイルスが、体内の細胞に入るのを阻害するとされる「SPL7013」を含んだジェルが塗布されたコンドームのビバジェル(VivaGel(R))が販売されています。

https://item.rakuten.co.jp/tokiwadrug/003vivagel/


  • 「相手を傷つけるかも知れない」「相手に傷つけられるかもしれない」ことを常に意識してSEXしよう

我々は、なぜ、セックスをするのでしょうか。


乱れた性行為や、無防備な性行為をすることが、悲劇のヒロインをイメージさせ、堕落していく自分に興奮しているのでしょうか。

ストレスの発散や快楽を愉しむためであるならば、尚更、コンドームなしの性行為は避けるべきです。


なぜなら、セックスに依存するような乱れた生活はいつか終わり、病気にまみれた身体だけが残るからです。

性欲はいずれ、減退し失せていきますが、肉体は死ぬまで一緒です。

性に飽きたら、病気が治るわけはありません。


本来、セックスをすることが目的になってはいけないのです。

であるからこそ、HIVに限らず、性感染症の問題を、ないがしろにしてはならないのです。

遊びたいのなら、性感染症に真剣に取り組まないといけないのです。

なぜなら、性感染症に極力かからないようにすることが、「遊べる」ということを保証してくれるからです。


私たちの性行為が、主に肛門性交を是とするようになってしまった以上、HIVに感染しているかどうかに関わらず、「相手を傷つけるかも知れない」「相手に傷つけられるかも知れない」という意識をもたなければなりません。

それが、相手への責任であり、自分への責任でもあります。


「PrEPしているから、生でも大丈夫だよ」なんて言う人もいるでしょうが、そんな相手は、いくらタイプであっても、願い下げするくらいの気持ちで、いて欲しいと願います。

決して、自分を安売りしてはなりません。

そして、相手を性処理道具のように扱ってはいけないのです。

自分の快楽のために、他人を傷つければ、それは必ず、自分に返ってきます。


気持ちが緩んだり、その場の雰囲気に流されたりすることもあるでしょう。

感染も多様で、そして進行も多様である以上、たった1回の性行為で、性感染症やHIVに感染することがあるのです。


コンドームを財布や手帳などに挟んでおき、「常に備える」のはいかがでしょうか。

コンドームを携帯することは恥ずかしいことではありません。

むしろ、性に倫理感を持っていると歓迎されるものだと、私は考えます。


いつまでも健康で、そして、長生き出来るよう。

なくしてわかる、健康のありがたみ。

自分の健康を、まずもって大切にして生きていきたいものです。


付録:

相談先「エイズ予防情報ネット」

https://api-net.jfap.or.jp/index.html

電話相談 https://api-net.jfap.or.jp/inspection/tel.html

受付:月~金 10:00~13:00 14:00~17:00

フリーダイヤル(無料)0120-177-812

携帯電話からの場合(有料)03-5259-1815


(2021年2月18日初稿)

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