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NHK紅白歌合戦のリニューアルに「ジェンダーの多様性」を絡める違和感

更新日:4月18日

毎年、大みそかはNHKの「紅白歌合戦」を観て、そのあと「ゆく年くる年」を観ながら、新年を迎える方は、少なくないのではないでしょうか。


私も、実家で両親、と言っても、最近は父が早く寝てしまうので、もっぱら母と愛犬の”三人”で、紅白とゆく年くる年を見て新年を迎えるのが定番になっていて、それが叶わないと逆に居心地が悪かったりします。


特に、紅白歌合戦は、“日本の国民行事” などと言われる程、日本の大みそかに欠かせないものになっているのは、言うまでもありません。


NHKが発表した衝撃的な紅白歌合戦リニューアル

そんな、紅白歌合戦ですが、私たちが知る紅白歌合戦ではなくなってしまうようです。


というのは、2021年10月29日にTwitterに投稿されたNHKのツイートによると、

「第72回NHK紅白歌合戦の司会者が決まった」

「『紅組司会』『白組司会』『総合司会』という呼称を全員『司会』として統一する」

ことになったと告知されています。



この、司会の呼称変更については、そのツイートに貼られたリンク先の説明によると、

「番組の進行とともに、紅組白組はじめご出演いただくすべての歌手・アーティストを応援する存在になる」ために、実施するのだそうです。


この発表は、衝撃的なものとして世間に受け止められており、“紅白歌合戦自体の存在意義が問われるのではないか” とまで言われるようになっているのは、皆さんもご存知のことかと思います。


それに加え、更に驚くことがあります。


それは、公式ロゴが、紅白を強調したものから、赤と白の間にグラデーションを持たせたものに、変更されていることです。



この変更について、公式HPでは、

「去年から続く新型コロナのために、わたしたちの日常の暮らしは変わりました。

なんとなく彩りの欠けた日々や景色が、当たり前のことになってしまいました。

そんな時代だからこそ、2021年最後の夜は世の中を少しでも「カラフル」に彩りたい、わたしたちはそうした思いを込めて、紅白をお届けします。

そして「カラフル」には、多様な価値観を認め合おうという思いも込められています。

あらゆる色が集い、重なり合い、称え合い、素敵な大みそかを彩る。それが今年の紅白です。」

との説明があります。


「多様な価値観」ですか・・・紅組と白組の枠組みで自分の持てる力を競い合うことを認めることも多様性の一つなんじゃないかと思うのですが、それだとリニューアルすることが叶わないから、その価値観以外のものを採用したってことなのだろうと想像するのですが、この発表を踏まえて書かれた記事には、関係者のインタビューを交え、「ジェンダーへの意識の高まりが垣間見れる」といわれており、やはり、その記事に対するコメントにも、同様の意見が多数見受けられます。


従って、今回のリニューアルの理由として、性別、この場合、社会的役割としてのジェンダーの多様性を意識したかのようなニュアンスが感じられ、“ジェンダーの多様性” を意識した紅白歌合戦、ということなのだろうと、受け止めた方は少なくないはずです。



性的な部分が少数者とされる人々が望んだリニューアルという誤解を解く

ただ、当事者の一人として申し上げると、紅白歌合戦のリニューアルに、ジェンダーの多様性の尊重、つまり、従来の生物学的性別(SEX)から社会学的性別(GENDER)に軸足を置くことが、まるで、LGBTのみならず、性的な部分が少数者とされる人々に対する配慮の結果として、世間に認識されることには、納得できない気持ちを抱かずにはいられません。


当然ながら、私同様に、いや、私以上に今回のリニューアルをいぶかしく思う、性的な部分が少数者だとされる人々は、決して少なくはありません。


その一方、LGBT運動家は、今回のリニューアルを、「過渡期」とし、歓迎する旨、意思表示している者がいます。


しかしながら、LGBT運動家ではない一般の当事者の意見におけるマジョリティーは、以下のツイートのようなものだと断言して、差し支えないでしょう。



>局内でも“LGBTQなどの観点から、性別で分けるのは時代の流れにそぐわないのでは?”


男女分けて歌合戦する過去の紅白が大好きなゲイはたくさんいますけどね。

性別がどーたらっていうのは、あくまで「TQ」の観点であって「LGB」は巻き込まないでほしい。


なぜ、そのように断定できるのか。

このツイートの背景を裏付けるものとして、「女装紅白歌合戦」の存在があります。



女装紅白歌合戦:読者の皆様の中には、強いインパクトをもって、初めて知った方もいらっしゃることでしょう。


このイベント、もう、20回を迎えるのですから、昨日今日の話ではないことをご理解いただけることと思います。


ジェンダーで汚されるエンターテインメント

先に取り上げた記事を踏まえてお話するならば、今まで、紅白歌合戦を観てきた人々は、性的な部分が少数者とされるか否かに関係なく、一人の視聴者として、「紅組」「白組」の設定の中で、“自分のもてる力を競い合う”ことで最高のエンターテインメントを楽しめることを毎年心待ちにし、エンターテインメントとして純粋に、楽しんできたわけです。


男女を「紅組」「白組」に分けることを、差別だ、時代遅れだ、などと責めた人がいたとして、それがマジョリティーとして認めるに足る程の数だったのでしょうか。


そして、重要なのは、ジェンダーを殊更に意識する性的な部分が少数者とされる人々は、マイノリティーの中のマイノリティーだということです。


声は大きいかも知れない。

でも、数は少ないと断言して差し支えないと、私は自信をもって言えます。


もし、紅白歌合戦がけしからん!という意見が当事者の多数の支持を得ていたのならば、「女装紅白歌合戦」が20回も続くわけはないのですから。


今回のリニューアルで、「ジェンダーの多様性に配慮した結果」として、まるで、LGBTや性的な部分が少数者とされる人々のためだ、などと一方的に、恩着せがましくアピールされても迷惑だ、と考える当事者がいる、そして、それは決して少数ではないということは、NHKにも理解していただきたいと思うのです。


紅白歌合戦の未来:さようなら、紅白歌合戦

「多様な価値観」を尊重するため、ジェンダーの多様性を意識したリニューアルを実施し、それがLGBT運動家に “過渡期” として認められたことにより、従来の紅白に戻ることは出来なくなりました。


そして、多様な価値観を尊重するならば、「男女を赤と白で表現することは許されない」とする価値観も尊重する必要が出てくるでしょう。


また、例えば、“赤と白に属さないジェンダーの色も必要だ”、と他の色を加える方向にリニューアルが進んだとしても、それは、「その新しい組に属した歌手やアーティストにとって、悪質なアウティングだ」と言われかねません。


もっとも、自分から進んで性的な部分を公にする歌手やアーティストは、ほとんどいませんが。


それは今日まで、カミングアウトした、あるいは第三者によってカミングアウトされた歌手やアーティストがほとんどいないことが証明しています。


恐らく、セクシュアリティを自分の “売り” にしている歌手やアーティストは、我先にと桃組なのか、黄組なのか分かりませんが、新しく追加された組にエントリーしたい!と猛烈にアピールするのではないかと思いますが、詰まるところ、どう考えても、紅白歌合戦は “色” を放棄せざるを得ません。


となると、紅白歌合戦はじきに、終了するのでしょう。


私のみならず、多くの人が感じていらっしゃることと思いますが、遅かれ早かれ、NHK歌合戦やNHK歌謡祭、或いはNHK音楽祭へとその姿を変えるのでしょう。


それが、ジェンダーを貴ぶNHKが望む未来の "歌合戦" ならば、何も言うことはありません。


ただ、色を捨て、セクシュアリティやジェンダーというものを前面に押し出して放送される紅白を、今まで通り、“大みそかの定番” として、観ることが出来るかどうか、気になるところではあります。


ジェンダーで世の中が大きく変わる可能性があることを理解しよう

紅白歌合戦が “ジェンダーの多様性“ という、必ずしも適切に理解されているとは言い難いもので、変わっていくことは、ジェンダーによって社会が大きく変わる可能性があることを、明確に示してくれていると理解したいと思います。


生物学的性別であるSEXから、社会学的性別であるGENDERで、「性別」を定義することは、“多様性の尊重” の結果のひとつなどという単純な話ではなく、“革命” が起きるくらいの影響力を秘めている(隠している)ことを理解するべきだと、私は提起したいと思います。


知ったつもりでジェンダーを尊重するのは、やめよう。


安易なジェンダー尊重は、大変危険だと言わざるを得ないのです。

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